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Awards Ceremony 開催レポート 2(奨励賞、学生賞)

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奨励賞と学生賞には、以下の作品が選ばれました。学生賞は今回初めて設けられた賞です。


浅井 信行氏
奨励賞 「manarola」「manarola sunset」
浅井 信行氏

【受賞者コメント】

私はCGの仕事をしている訳ではなく、個人的な趣味でCGを楽しんでいます。まさか賞をいただけるとは思っておらず驚きました。プロとしてCGを作られている方から見れば、ディテールもテクスチャも物足りないのではないかと思うのですが、時間をかけて作った努力を認めていただけたのかなと感じます。ありがとうございました。

【 manarola / manarola sunset】

manarola manarola sunset
北イタリアの都市、cinque terreとして世界遺産に登録されているうちの一つmanarolaを描いた作品。日没直後の街に明かりが灯り始めたころをレンダリングしています。
(制作:Autodesk 3ds Max Design)

本田 司氏
奨励賞 「transition」
本田 司氏

【受賞者コメント】

私は大学院で空間認知を学んでいます。CGは写実主義から印象派へと流れていて、絵画の歴史と似たような流れをたどっているのではないかと私は思っています。絵画の世界では、その流れの中でキュビズムなど空間理論のようなものが生まれたので、それがCGの世界でも展開されていく時期ではないかと考えて活動しています。ありがとうございました。

transition

【transition】

廊下からリビングへの壁を空間のトランジションとして捉え、その連続する空間を描いた作品。光・経路・速度によって変様する空間を粒子で描いています。
(制作:Autodesk 3ds Max Design)

長尾 優氏
奨励賞 【Flesh and Bones】
長尾 優氏

【受賞者コメント】

プライベートでCGを制作しています。本日も(このギャラリーで)様々な作品を拝見して、今後もっと頑張っていきたいという大変良い刺激になっております。私は完成された製品よりも、それが作られている途中、発展している途中のものを描くのが好きで、この作品を作らせていただきました。本日はありがとうございました。

Flesh and Bones

【Flesh and Bones】

作業途中の工事現場を描いた作品。更地に機材・資材が運び込まれるところから始まり、やがて建物が完成し周囲のビル群に溶け込むまでの過程の一コマを切り取りました。
(制作:Autodesk Maya、Mental Ray)

樺島 健二氏
学生賞 【My House Kitchen】
樺島 健二氏

【受賞者コメント】

今回は賞をいただき、とても光栄に思います。この作品は「部屋をリアルに作る」という学校の課題があって、そのために制作したものです。生活感を出すというのをコンセプトに作りました。今後CG業界に進んでいきたいと思っているので、こういう賞をもらえたことが励みになりました。ありがとうございます。

My House Kitchen

【My House Kitchen】

学校でCG制作を学ぶ作者が、課題として取り組んだ作品。生活空間の雰囲気を出すために、汚れの表現とステンレスの質感にこだわっています。
(制作:Autodesk Maya、E_light、Mental Ray)

審査員コメント

林氏

林氏

奨励賞と学生賞を受賞された皆様、おめでとうございます。4作品ともバラエティに富んでおりまして、それぞれ個性的で素晴らしい作品だと思います。私は中でも長尾さんが手掛けられた作品が印象に残りました。私が設計の実務をする上でこういったシーンは見慣れたものです。この作品はおそらく工事現場で一日の作業が終わって、夜になって明かりが灯った頃を描かれたのでしょう。昼間見る色と違う夜のシーンで、鉄骨の錆よけの赤い色と、ブルーシートの青い色との表現にハッとさせられました。ふだん見慣れたものでも、CGの世界でこれだけ作り出せるのかと脱帽しました。

古谷氏

古谷氏

非常に面白い作品の中で、特に本田さんの作品が印象的でした。リアリズムを超えて、CGで何が可能かというチャレンジだとお見受けしました。空気の動きを粒子状のCGで表現されていて、多くの作品群の中でひときわ異彩を放っていました。こうした表現は動画でもできそうですし、大きな可能性があると感じます。

学生賞の樺島さんの作品も面白かったです。何かを美しく表現する試みはよくありますが、これは汚れた感じの表現を重視しています。CGだと何でもピカピカして綺麗に見えてしまいがちの中で、しんみりした汚れが絶妙に表現されています。この課題を学校で出された先生も、挑戦して作られた生徒さんも素晴らしいですね。

和田氏

和田氏

審査員たちは樺島さんの作品について、学校の課題だろうと始めから予想していました。似た作品もあったのですが、その中でもこれは泥臭さが際立っていて、「本当に生活している」という雰囲気がよく出ていました。賞を励みに、ぜひCG界で活躍してほしいです。

浅井さんの作品は、プロだともっと作り込んでしまうだろうと思える内容の作品ですが、私はこれを見て「CGで何かを得ようといった欲が無く、自分の持つ素朴な感覚を上手く表現されている」と感じました。プロは欲が出ると、技巧を求めるあまり大切なものを失うことがあります。プロとアマチュアの境界線はもう無いのかもしれませんが、アマチュアならではの表現が心に触れたというか、この場所に行ってみたいと思いました。

取材・執筆:蓬莱 早苗(ほうらい さなえ)

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